虐待などで家庭に居場所を失った10歳代後半の少女を一時的に受け入れる子どもシェルター「はるの家」が、京都市内に開設された。
関西では初めての施設で、同市のNPO法人が運営。児童相談所など公的施設や司法制度だけでは解決につながらず、行き場がない子どもたちに手を差し伸べる民間施設として期待されている。
子どもシェルターは2004年に東京で開設されたのを最初に、7都府県8か所に広がり、NPO法人や社会福祉法人が運営。児童相談所と連携するほか、子ども一人ひとりに弁護士を付けることで、家庭復帰に向けた保護者との調整、児童養護施設など他施設の利用、就職支援などにあたる。
こうした民間施設が相次いで開設される背景には、公的な施設での対応の限界がある。児童相談所には、処遇を決めるまで子どもたちを受け入れる一時保護所があるが、幼児から思春期で多感な10歳代まで、幅広い年齢層が集団生活を送るため、それぞれに合わせたサポートが難しいという。
2日に開設された「はるの家」は、一軒家を使用。虐待を受けて家庭を飛び出したり、少年院を出た後の行き場がなかったりする少女らを支援する。受け入れ対象を少女としているのは、性的被害などが懸念され、保護の緊急性が高いためで、個室で2~3週間の滞在を想定。定員は6人で、24時間態勢でスタッフが寄り添う。運営費は国と京都市からの負担や市民からの寄付金などをあてる。
運営する同市のNPO法人「子どもセンターののさん」理事長の安保千秋弁護士は「きめ細かな対応で、子どもたちが心身を休められる場所にしたい。はるの家を出た後も関係機関などとの連携を深めて支援したい」としている。問い合わせは、同NPOの事務局(075・254・8331)へ。
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子どもシェルターへの国や自治体からの公的支援を巡っては、厚労省が昨年7月、一定の要件を満たした施設を、児童福祉法に基づき、義務教育終了後の子どもを支援する「自立援助ホーム」にあたると判断したことから可能となった。
東京でシェルターを運営する社会福祉法人「カリヨン子どもセンター」の石井花梨事務局長は「財政面の不安が解消されたことは大きな意味がある」と歓迎。一方で、「自立援助ホームとシェルターは利用期間など異なる所もある。将来的には法的にシェルターを位置づけ、実情を踏まえた支援が必要」と指摘している。
2012年4月12日 - 読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20120412-OYT8T00373.htm?from=os4
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