▽ホストの従業員ら、私服でナンパ装う
広島市中心部の商店街で、風営法で禁止されている風俗店の客引きが横行している。黒い服で身を固め「カラス族」と呼ばれるホストクラブなどの従業員たちで、警察の摘発を逃れるため私服でナンパを装うなど巧妙化している。買い物客からは苦情も寄せられており、商店主は「取り締まりを強めてほしい」と訴えている。
先月下旬の平日午後8時、中区の本通り商店街。記者が歩いて調べると、派手な髪形をし、黒ズボンと白シャツの若い男が道行く若い女性につきまとい、しきりに声を掛けていた。通りを300メートルほど歩いただけで15人を確認した。
声を掛けられていた女性に聞くと、男たちは「何しとん」「一緒に遊びに行こう」と近寄って来たという。話をするうちに打ち解けてくると「あっちの方の店」「カラオケ付きで飲み放題」などと勤める店に来るよう誘ってくる、と証言する。
▽「違法知ってたが」
関係者によると、声を掛ける男たちの多くは中央通りを隔てた繁華街、流川・薬研堀地区にあるホストクラブなど風俗店の従業員。女性の買い物客が多い本通りなどの中心部商店街は客引きの「草刈り場」という。ひと目で客引きと分かる黒服姿もいるが、中にTシャツやジーンズ姿も紛れる。
地元の人によると、黒い服を着た「カラス族」は10年ほど前から商店街に姿を見せ、道行く女性にホステスになるよう勧誘するスカウトなどをしていたという。2006年の広島県迷惑防止条例改正でスカウト行為が禁止されると、客引きが目立ち始め、私服姿の客引きも最近、増えてきたという。
客引きをしていた男(21)は取材に「警察に捕まらないよう、目立たない私服でいる」と悪びれることなく答えた。別の男(21)も「違法と分かっているが、金のため」と話す。警察官が来たら、仲間で連絡を取り合って散らばるという。
▽取り締まり強化を
風営法は、ホストクラブなどの風俗店の従業員による客引きを禁止している。しかし、広島県警のある捜査員は「職務質問をしてもナンパをしていたと言い逃れをされるなど、客引きの実態が見えにくい」と打ち明ける。
広島本通商店街振興組合の下村純一理事長は「お客さまに楽しく歩いてもらうはずの場所なので、立っているだけでも異質。取り締まりを強めてほしい」と求めている。
客引き行為の禁止 風営法は、キャバクラやホストクラブなどの風俗店の客引きやつきまとい行為などを禁止する。2006年5月に改正された広島県迷惑防止条例は、スカウト行為を禁止したほか、公共の場所で衣服を引っ張るなどの執拗(しつよう)な客引き行為などを禁じている。
2009年9月6日 中国新聞
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200909060120.html
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Last Updated on Tuesday, 08 September 2009 14:48 |