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「外国人研修・技能実習制度」は人身取引事件の温床との批判を受け
(国連特別報告者のレポート参照)、その対策が講じられてきているはずですが、このような事件は絶えません。下記にご紹介する記事に「人身取引」という言葉は出てきませんが、数ある類似事件のうちの一つと考えられます。典型的な例は、研修生がブローカーに多額の紹介料を払って来日するものの、本来の「研修」という目的とは程遠い内容の環境で労働力搾取や、暴力、性的暴力を受ける、というものです。しかも、ブローカーに借金を抱えていたり、逃げ出したら家族に危害を加える、という脅しを受けている場合もあり、逃げようとしない被害者もいます。これらの事件は人身取引・人権侵害に当たり、日本で実際に起こっているのですが、あまり知られていないのが現状です。(文責:プログラムオフィサー 船戸)
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「研修先農家で性的被害」中国人女性、賠償求め提訴
海外の人に日本の技術を習得してもらう「外国人研修・技能実習制度」で来日した30代の中国人女性が21日、研修先の旭市内の農家で性的暴行を受けたとして、50代の農園経営者と、同農園を紹介した「ちばみどり農協」(旭市)を相手取り、慰謝料など1100万円の損害賠償を求める訴えを千葉地裁に起こした。
訴状などによると、女性は2009年11月、農業技術を学ぶために来日し、第1次受け入れ機関だった同農協の紹介で、男性の農園で働き始めた。しかし、数か月後、男性から胸を触られるなどのセクハラ行為を受けるようになり、10年6~7月には繰り返し性的暴行を受けたとしている。
女性は、ほかの中国人研修生と農園敷地内の寮で生活していたが、同年8月に寮を逃げだした。被害を防止できなかったとして、同農協も提訴することにしたという。
代理人の指宿昭一弁護士は21日、東京・霞が関の厚生労働省で記者会見し、「研修生は多額の借金をして来日するケースが多く、被害を受けても泣き寝入りする人が多い。今回の事件は氷山の一角」と話した。
ちばみどり農協の加瀬俊雄・総務部長は「訴状を確認してからでないとコメントできない。顧問弁護士と相談して対応したい」としている。
読売新聞 2011年1月22日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news/20110121-OYT8T01058.htm