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【報告】児童ポルノ排除対策公開シンポジウムで講演しました。
11月22日内閣府が主催して「児童ポルノ排除対策公開シンポジウムが開かれました。これは児童ポルノ対策推進協議会の設立に伴って行われたものです。

パネルディスカッションでは、異なる立場からそれぞれ児童ポルノ排除を進める6人のパネリストが招かれ、意見交換を行いました。当団体の藤原もその一人として日本の現状をお伝えする機会をいただきました。 人身取引という視点から見ると、児童ポルノは被害者からの性的搾取につながり、児童(子ども)の人権を侵す非常に深刻な問題です。しかし日本における認識はいまだに低く、児童ポルノが氾濫してその被害者に対する恒久的な影響は計り知れません。当団体に寄せられる実際の相談からは、ごく普通にいそうな日本人の子どもがお小遣い欲しさなどの些細な理由から児童ポルノに引き込まれていく現状が浮かび上がってきます。

また、大阪府寝屋川市教育委員会の竹内和雄氏からは、親が子どもに使わせる携帯電話の多くにフィルタリングが施されていないことや、子どもたちの間で「リク写」(リクエスト写メール)と呼ばれるものがあり、自分たちで撮ったわいせつ画像などが電子マネーを使って売買されているという実態も報告されました。また、規制も大事だが、子ども自身に情報モラルを持たせ、考える力を育てるための教育を進めるべき、と指摘されています。ポラリスプロジェクトも関わりの深い10代の子どもへの教育には、非常に大切なことであると共感しました。

そのほかのパネリストの方々からは、インターネットによる被害と児童ポルノの流通についてそれぞれご指摘がありました。昨年警察庁が検挙した935件の児童ポルノに関する事件では、半数以上である507件がインターネットに関係しており、ブロッキングやフィルタリングといった対策を早急に進めるべき、とのことでした。一度インターネット上に流れた画像や情報は取り消すことが非常に難しく、被害の拡大を招いています。また、最近ではサーバーやドメインを海外におくサイトもあり、この問題をグローバルな視点から国際的な協力も視野に入れて考えていく必要があります。
 
もう一つ重要なことは、この問題が需要と供給という市場原理に基づいて広がっている、という認識を持つことではないでしょうか。子どもを守る、被害者にならないようにする、という視点からだけではなく、児童ポルノを欲しがる大人がいて需要があるから、供給して金もうけをしようとする人が現れる、という原理に着目するということです。需要を減らすことが供給を減らすことにつながる訳ですから、例えば警察が検挙した加害者がどのような経路と精神状態でそれに関わっていたのかなどを精査して、それをもとに対策を講じる、というようなアプローチも必要でしょう。また、学校教育では、子どもを守り被害者にならないように、という視点に加えて、加害者にならないように、という切り口からも子どもたちに考えさせる教育を行うべきでしょう。竹内氏の寝屋川市では「いじめ」という違うトピックではあるものの、両方の視点から子どもたちに考えさせるための教育が行われており、先見的な試みです。()

児童ポルノ対策推進協議会は様々な国の機関や、NPO、教育関係機関の集まりです。その多様性を生かして、包括的にこの問題に取り組んでいければ、と願っています。そして、ポラリスプロジェクトジャパンも人身取引という視点から微力ながらその一翼を担いたいと思います。

(文責:プログラムオフィサー 船戸)
 
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